こんばんは、元簿記講師です。今日は商品売買取引に関する2回目です。
今回も実務上の話と絡めて説明していきますのでよろしくお願いします。
掛け取引とは
前回現金を使った商品売買取引について書きましたが、実際に会社が現金取引をする事は少なく、通常は掛け取引にて商売を行うことが多いです。検定試験でも重要な部分となりますので早速見ていくこととしましょう。
まず、掛け取りとは何なのか?と言いますと、
「代金はつけといて!」「出世払いで」「次来た時にまとめて払います」等々、物を受け取ったりやサービスを受けたりしたが、代金の支払いは後程....
こんなやり取り(?)を会社間で行っているのが掛け取引と言います。
なぜ会社でこのような取引を行うのかと言うと、商品を売る側としては毎回請求書や領収書を発行するのは手間ですし、商品を買う側は支払い代金として現金を持ち歩くは危険が伴うので、例えば売る側が一か月分の商品代金等をまとめて1通の請求書を発送して、買う側がその代金を銀行振込にて支払うという流れとなります。今は振込処理もパソコンから実行できますし、領収書の発行も必要ないので手間が減り、印紙税も必要ないので、会社では特別な事情がない限りこの流れに沿って取引を行うことが多いですね。
ちなみに、特別な事情と何だと思いますか?
掛け取引は、信用取引とも言われ、相手が後程必ず代金を払ってくれると思う、信用できるから行われる取引なんです。つまり、相手の事を信用できなれば、掛け取引では無く、その都度現金にて代金をもらったり、半分だけ先に代金を受け取り後程残りの半分をもらうと言った取引を行います。
このようにしていても、長い間経理をやっていると貸し倒れ(代金を踏み倒される)は発生してしまうものなので、むずかしいものです。
掛け取引(仕入)の仕訳
問題1
2月1日にA商店は商品100円を仕入れ、代金は掛け払いとした。
まずはいつもどおり仕訳をする時の基本を確認しながら考えていきましょう。
①最初に問題文から勘定科目となる部分をどこ?
今回は、仕入れと掛けと言う部分が勘定科目となりますが、勘定科目は決められた言葉なのでそれぞれを次のように読み替えます。
仕入れ⇒「仕入」
掛け ⇒ . . . . . . ?
※掛け取引を表す勘定科目には売掛金と買掛金がありますが、それぞれ商品を売り上げ時の掛け代金を「売掛金」、商品を仕入れた時の掛け代金「買掛金」と使い分けます。また、勘定科目に変換するときには送り仮名がなくなりますので要注意です。
仕入れ ⇒ 仕入
よって
掛け ⇒ 「買掛金」
となります。
②勘定科目のグループは何?
仕 入 ⇒ 費用
買掛金 ⇒ 負債
これは考えるというよりは、覚えてしまいましょう。
③増えてる?減ってる?
仕入(費用)はどうでしょうか?
A商店は今回新たに商品を100円分買っているので100円の仕入れをした、つまり仕入れは増加(発生)しています。
一方、買掛金(負債)はどうでしょうか?
A商店は今回新たに100円商品を仕入れしてその代金を掛にしたので、払っていない商品代金(買掛金)も増加しています。
※このように仕訳は必ず増加と減少が出てくるわけではありませんので注意です。
④借方、貸方どちら?
取引の8要素の表にてどちらへ書くのが正しいか確認してそのまま記入しましょう。


仕 入(費用・発生)⇒ 借方
買掛金(負債・増加)⇒ 貸方
答え
2/1 仕入 100 / 買掛金 100
※仕訳は必ず貸借金額が一致するので確認を忘れないようにしましょう。
問題2
3月1日にA商店は買掛金100円を現金で支払った。
①勘定科目はどの部分?
買掛金 ⇒「買掛金」
現 金 ⇒「現金」
②勘定科目のグループは何?
買掛金 ⇒ 負債
現 金 ⇒ 資産
③増えてる?減ってる?
買掛金(負債)はどうでしょうか?
A商店は買掛金を100円分支払っているので、買掛金は減少しています。
現金(資産)はどうでしょうか?
また、A商店は現金100円で支払をしているので現金も減少しています。
④借方、貸方どちら?
取引の8要素の表にてどちらへ書くのが正しいか確認してそのまま記入しましょう。
買掛金(負債・減少)⇒ 借方
現 金(資産・減少)⇒ 貸方
答え
3/1 買掛金 100 / 現金 100
※仕訳は必ず貸借金額が一致するので確認を忘れないようにしましょう。
元簿記講師からは以上となります。
次回は掛け払いによる売り上げを説明します