こんばんは、元簿記講師です。今日は商品売買取引に関する3回目です。
今回も実務上の話と絡めて説明していきますのでよろしくお願いします。
掛け取引は得?損?
前回お話しましたとおり、掛け取引とは商品を買ったり、サービスを受けたりしたけど代金は後で払う取り引きの事でした。そのメリットとしては毎回請求書や領収書を発行しる手間が省ける事、支払いのために現金等を持ち歩かなくて良い事がありました。その他には、商品を買っても支払いを先延ばしにできるというのも大きなメリットとなります。但し、これは商品の買う側だけの話であって売る側にとっては大きなデメリットです。そこで、会社間にて請求書を作成してから何か月後に支払いを行うのかというのが会社の資金繰りを考える時にポイントとなります。(資金繰りとは今後会社の現金がどれだけ増えたり減ったりするのかを予想して、現金が0にならないようにする事だとイメージしてください)
私が中小企業に勤めていた時には、年末になると代金は手形で月末までに全て欲しいとか言われたものです。(後程学習しますが、手形はすぐにお金にすることができます)
掛け取引(売上)の仕訳
問題
3月1日にB商店は商品200円を売り上げ、代金は掛け払いとした。
まずはいつもどおり仕訳をする時の基本を確認しながら考えていきましょう。
①最初に問題文から勘定科目となる部分をどこ?
今回は、売り上げと掛けと言う部分が勘定科目となりますが、勘定科目は決められた言葉なのでそれぞれを次のように読み替えます。
売り上げ⇒「売上」
掛け ⇒「売掛金」
※前回の「仕入れ⇒仕入」と同様に「売り上げ⇒売上」となりますので、勘定科目に変換するときには送り仮名に要注意です。
②勘定科目のグループは何?
売 上 ⇒ 収益
売掛金 ⇒ 資産
くどいですが考えるというよりは、覚えましょう。
③増えてる?減ってる?
売上(収益)はどうでしょうか?
B商店は今回新たに商品を200円分売っているので200円売り上げた、つまり売り上げは増加(発生)しています。
一方、売掛金(資産)はどうでしょうか?
B商店は今回新たに200円商品を売り上げてその代金を掛にしたので、もらっていない商品代金(売掛金)も増加しています。
※このように仕訳は必ず増加と減少が出てくるわけではありませんので注意です。
④借方、貸方どちら?
取引の8要素の表にてどちらへ書くのが正しいか確認してそのまま記入しましょう。


売 上(収益・発生)⇒ 貸方
売掛金(資産・増加)⇒ 借方
答え
3/1 売掛金 200 / 売上 200
※仕訳は必ず貸借金額が一致するので確認を忘れないようにしましょう。
問題2
4月1日にA商店は売掛金200円を現金で受け取った。
①勘定科目はどの部分?
売掛金 ⇒「売掛金」
現 金 ⇒「現金」
②勘定科目のグループは何?
売掛金 ⇒ 資産
現 金 ⇒ 資産
③増えてる?減ってる?
売掛金(資産)はどうでしょうか?
B商店は売掛金を200円分受け取っているので、売掛金は減少しています。
現金(資産)はどうでしょうか?
また、B商店は現金200円で受け取っているので現金は増加しています。
④借方、貸方どちら?
取引の8要素の表にてどちらへ書くのが正しいか確認してそのまま記入しましょう。
売掛金(資産・減少)⇒ 貸方
現 金(資産・増加)⇒ 借方
答え
4/1 現金 200 / 売掛金 200
※仕訳は必ず貸借金額が一致するので確認を忘れないようにしましょう。
元簿記講師からは以上となります。
次回は商品売買時の前払金と前受金について説明します